ここで働きたいをつくる

    2017年01月13日 更新

    6万人の社員クチコミによる「平均残業時間推移」―日本の残業時間が大幅減少。3年前に比べ11時間減に―

     長時間労働の是正に関する議論がこの5年ほど盛り上がりを見せている中、政府も「働き方改革」を掲げ、働き方担当大臣の新設や労働基準法の改正など様々な施策を立ち上げている。企業側も「ノー残業デー」や、「朝方勤務制度」の積極導入、リモートワークなどの制度を取り入れるなど、働き方を見直す動きも活発化。日本社会全体で残業に対する意識変化が進む中、実際に働く社員の残業時間はどう変化しているのか。Vorkersでは、現職社員のクチコミから残業時間の推移を調査した。

     今回の調査レポートでは、Vorkersに寄せられた、現職社員(回答時)による残業時間データを年次で集計し、平均の推移を調査した。Vorkersが実数として取得している残業時間は、企業が公式に発表している残業時間ではなく、社員自身が認識している残業時間となるため、サービス残業が含まれた、より実態に即したものとなっている。また、業界別の平均残業時間推移も併せて発表した。

     長時間労働の是正に関する議論がこの5年ほど盛り上がりを見せている中、政府も「働き方改革」を掲げ、働き方担当大臣の新設や労働基準法の改正など様々な施策を立ち上げている。企業側も「ノー残業デー」や、「朝方勤務制度」の積極導入、リモートワークなどの制度を取り入れるなど、働き方を見直す動きも活発化。日本社会全体で残業に対する意識変化が進む中、実際に働く社員の残業時間はどう変化しているのか。Vorkersでは、現職社員のクチコミから残業時間の推移を調査した。

    月間平均残業時間は2015年から大幅減少

     今回集計した残業時間は、回答時に「現職」であった社員からのクチコミに絞って集計することで、より実態に即した月間平均残業時間を算出。過去5年の推移から見えてきたのは、2015年と2016年の残業時間の大幅な減少だ。2014年に平均44時間/月であったものが、2015年には5時間減り39時間/月、2016年はさらに4時間減り、平均35時間/月という結果になり、2013年と2016年を比べると月間11時間の減少となっている。
     今回の残業時間の大幅減少は、その背景として、社会の風潮に沿った残業に対する意識変化があり、それが大きく反映された結果と言えるのではないだろうか。

     近年、長時間労働をどう是正していくべきかという議論は多くのメディアでも取り上げられ、女性の社会進出や働き方の多様化などのテーマと合わせて盛り上がりを見せている。また、SNSなど、個人が情報発信をできるようになっていくにつれ、「ブラック企業」と言われる厳しい労働環境の実態が明るみになり、従業員の過労自殺などの報道と合わさり、不法な労働環境に対する非難の声が一気に高まった。そんな中、2013年に自民党が「ブラック企業」の公表を提言、安倍内閣は「働き方改革」を掲げ、2015年には長時間労働に対する指導を強化する内容を含んだ労働基準法の改正案が国会に提出されている。政府による「働き方改革」が本格始動する来年以降の変化にも、引き続き注目していきたいと思う。

    業界別の残業時間推移から見える、企業の意識改革


    業界 2012 2013 2014 2015 2016
    広告代理店、PR、SP、デザイン 71 79 73 64 59
    コンサルティング、シンクタンク 78 80 75 65 58
    建築、土木、設備工事 77 84 63 58 55
    監査法人、税理士法人、法律事務所 48 54 54 48 48
    放送、出版、新聞、映像、音響 60 68 58 58 47
    証券会社、投資ファンド、投資関連 56 57 53 48 42
    インターネット 56 59 56 46 41
    住宅設備、建材、エクステリア 57 52 50 48 41
    不動産関連、住宅 61 56 53 47 41
    印刷、紙・パルプ、書籍、パネル 52 50 47 45 39
    重電、産業電気機器、プラント関連 38 42 39 39 38
    人材、コールセンター、業務請負 46 45 44 39 36
    教育、研修サービス 51 48 46 38 36
    生命保険、損害保険 46 48 45 41 35
    SIer、ソフト開発、システム運用 45 45 43 39 35
    機械関連 35 42 43 38 35
    総合電機、家電、AV機器 39 39 38 36 35
    官公庁、独立行政法人 36 38 40 39 34
    コンピュータ、通信機器、OA機器関連 37 37 38 34 34
    医薬品、医療機器 49 44 43 35 33
    通信、ISP、データセンター 40 39 41 35 32
    食品、飲料 46 42 43 35 32
    旅行、ホテル、旅館、レジャー 44 48 40 36 32
    半導体、電子、精密機器 35 38 36 34 31
    自動車、自動車部品、輸送機器 28 33 34 32 31
    銀行(都市・信託・政府系)、信金 36 40 37 35 30
    化学、石油、ガラス、セラミック 34 35 37 33 30
    日用品、化粧品 38 32 38 34 30
    小売(百貨店・専門・CVS・量販店) 43 40 36 32 30
    航空、鉄道、運輸、倉庫 33 32 34 31 28
    クレジット、信販、リース 40 41 36 29 27
    ファッション、アパレル、繊維 31 30 34 28 21

    …前年比増…前年比減単位:時間


     次に、業界別の平均残業時間推移を見てみよう。業界によって差はあるものの、2015年と2016年はほぼすべての業界で減少している。長時間労働を抑制するためにどのような対策を行ったのか、企業の意識変化や取り組みの一部を、社員クチコミから紹介する。

     ※ピックアップしているクチコミはすべて回答時現職の社員によるもの。

    ・「近年、長時間労働改善と休日取得率向上を全社で取組んでおり、改善の方向に進んでいる。本人や上職者の意識次第で十分調整可能である。(工事長、清水建設)」[2016年11月回答]

     ・「証券会社の中で唯一と言っていいほど退職時間には厳しいです。基本的に若手は定時退社(地域、その時の業務量により変化)。役職付きも19時には完全退社しています。なのでプライベートとのバランスは非常に良いと思います。(営業、大和証券)」[2016年7月回答]

    ・「会社をあげてワークライフバランスの担保に取り組んでおり、意識的に企業文化を変え続けている。労働時間の長さは評価されず、決められた時間の中で効率良く高品質のアウトプットを出すことを目指しており、ある意味高度なことが求められているとも言える。(経営コンサルタント、アクセンチュア)」[2016年9月回答]

    ・「ワークライフバランスには気を配っている企業だと思います。残業に関しても、無理な残業はさせないように取り組まれています。残業に関するチェックも厳しくされており、残業は年々確実に減ってきています。(事務職、ハウス食品)」[2015年12月回答]

    ・「近年、ワーク・ライフ・バランスについて、経営層が強くメッセージを発している。有給休暇取得率アップや連続休暇を取得できる職場環境の整備を続けている。また深夜残業の禁止はもちろん、業務の効率化による残業の削減に取り組み、ワーク・ライフ・バランスの重要性を浸透させようと努力している。(研究員、武田薬品工業)」[2016年10月回答]

    ・「有休がとりやすい。残業が好まれない文化になってきており、前年度よりも就業時間を減らし、生産性をあげる取組も進められている。(事業部、味の素)」[2016年9月回答]

    データの集計について

    データの収集方法

     「Vorkers」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。会社評価レポートの回答条件は下記の通り。

    ・社員として1年以上在籍した企業の情報であること
    ・500文字以上の自由記述項目と、8つの選択項目に回答いただくこと

    以下の2つのデータについても収集している。

    ・月間残業時間(実数)
    ・有給取得数(実数)

    対象データ

     Vorkersに投稿された、回答時現職の社員による残業時間66,035件を対象データとしている。業界別平均は、各年50件以上の回答のあるものを発表。(集計期間:2012年1月~2016年11月)

    記事提供:Vorkers 働きがい研究所